埼玉県北本市の「ふるさと納税」寄付金額が2020年度に埼玉県1位に輝きました。北本市では、グリコのお菓子詰め合わせ等、様々な返礼品があり、とっても多くの方から寄附をして頂いています。そんな北本市のふるさと納税で、毎年多くのお申込を頂く返礼品が銀座英國屋さんの「オーダースーツお仕立て補助券」です。

でも少し疑問に思いますよね。「なぜ北本市のふるさと納税返礼品で、銀座英國屋のオーダースーツお仕立て補助券なの?」(返礼品は基本その街で作られたものしか登録できません)
その理由は、実は北本市に「銀座英国屋オーダースーツ縫製工房」があるからなんです。今回は、最高級スーツが作られる現場を取材しました!

北本駅西口から10分ほど歩いた住宅街の中に『銀座英國屋オーダースーツ縫製工房 エイワ株式会社』はあります。こちらではオーダースーツの老舗『銀座英國屋』の紳士服が主に造られています。

『銀座英國屋』は日本を代表する老舗テーラー

“過去には田中角栄氏や本田宗一郎氏といった政財界のトップリーダーたちが顧客リストに名を連ね、内閣総理大臣を務めた菅義偉氏もお気に入りであると、自民党総裁就任時にテレビ中継のテロップで流れたという銀座英國屋。1940年に創業した帽子屋をルーツとし、現在では銀座3丁目店をはじめ全国に9店舗を展開。日本を代表するテーラーとして知られている。一方のエイワは縫製会社として70年以上の歴史を持ち、長らく銀座英國屋と二人三脚でオーダースーツをつくり続けてきた老舗。その後銀座英國屋の完全子会社となり、年間5000着ものオーダースーツを縫製することができる国内随一の規模を誇る。”出典 一部修正

▼銀座英國屋ホームページ
https://eikokuya.co.jp/

▼北本市のふるさと納税  返礼品詳細『銀座英國屋』
https://www.furusato-tax.jp/feature/a/series_ultimatechoice_ginza_eikokuya

銀座英国屋オーダースーツ縫製工房が、実は北本にある

北本市で縫製工房がスタートしたのは1973年。それまで職人一人がスーツ造りの全てを担っていた「丸縫い」から、複数人で工程を分け仕上げていくグループ縫製を、スタートさせたのが、その始まり。銀座英國屋では、従来の職人による「丸縫い」では、職人さんの不足や市場環境の変化などにより、紳士服の伝統技術が、このままでは紳士服の伝統技術が未来に継承できないとの危機感から、グループ縫製の試みを始められたそうです。

▼銀座英國屋オーダースーツ縫製工房 グループ縫製について
フルオーダースーツなら絶対、丸縫い?銀座英國屋の縫製のこだわり

最高級オーダースーツの工房とは

こちらの『銀座英国屋オーダースーツ縫製工房』では、社員さんとパート従業員さんを合わせて、約70名の職人さんが働いています。全体的に若い職人さんが多く、社員さんの半数以上が40代以下とのこと。工房内にも若々しい雰囲気が漂っています。

今回、工房内の案内をしてくださったのは、銀座英國屋オーダースーツ縫製工房の中山次長。(下記写真左)“服作りが好きでたまらない”ことがグッと伝わる、熱意のこもったお話を、たくさん伺うことができました。

工房では、各工程ごとに作業スペースが分れており、専任の職人さんがそれぞれの工程を一つ一つ仕上げていきます。また、工房は1階と2階に分かれており、1階ではパンツ・プレス、2階ではジャケット・ベストが主に造られています。オーダースーツの作業工程は多種多様で、本当にきめ細かく分れているため、今回はその工程の一部をご紹介したいと思います。

それぞれの工程で職人の技術が光る

【芯据え工程】
芯据えとは、毛芯という土台に前パーツを止めていく工程です。紳士服ではこの「芯据え」という工程があり、非常に経験を伴う工程です。

馬のたてがみや尻尾の毛が用いられた毛芯は張りがあり、自然なボリュームを作り出す事が出来ます。その毛芯に正しく据えられた前パーツはとても立体的で十年以上経っても型崩れしにくいといわれているそうです。

   
生地の特性で扱い方が異なるため、オーダー表に書いてある生地の成分から特性を判断し、色々なことを計算しながら縫い進めていきます。例えば、ウールは湿気を含むと伸び、乾燥していると縮み、夏服に多く使われる素材はその逆となります。ポリエステルが入っていたらテカリに注意など、色々とあるそうです。

【ジャケットの襟】
襟に施す無数の「ハ刺し」は芯と表生地を一体化させ、丸みを持たせる工程であり、とにかくすごい針数です。


職人さんが一針一針さしたものも見せていただきました。気が遠くなるほどの緻密さと丁寧さです。

▼銀座英国屋オーダースーツ縫製工房 縫製方法について
フルオーダースーツなら全部手縫い?銀座英國屋の縫製のこだわり

同じスーツは1着もない

【ジャケットの肩まわり】
肩に直結した襟、肩、袖の仕立てに細心注意を払い、確かな技術を持って製品作りを行っています。一カ所でも崩れると、連動して崩れていくためすべてが重要な工程です。日本人は肩骨が前に突き出している「前肩体型」が多いと言われています。肩周りの動かしやすさは着心地に直結するため、銀座英國屋さんのスーツ造りでも、特にこだわりのポイントだそうです。


手に持つと前に少しせり出した袖の部分。着心地の良さを想像してしまいます。肩部分に厚みのある専用のハンガーも見せてもらいました。

【ハンドアイロン仕上げ】
縫製の最後の工程である仕上げのアイロン工程。機械プレスではなくハンドプレスで最終仕上げを行っています。機械では、大雑把なプレスになってしまい、仕上げた製品が台無しになってしまう事もあります。ハンドプレスは細部に気を使いながらアイロンがかけられるため、仕上りがとても綺麗です。プレス担当の池上班長は、現在も「丸縫い」の技術者であり、その経験から仕上りの検品を行いながらプレスを行っています。

     

テーラー文化を未来へつなげる

1着のスーツが完成してお客様が袖を通すまでには、想像もし難い、職人の皆さんのいくつもの小さな工夫が連続して施されており、あまりの丁寧さに、終始「すごいですね…」と感嘆の声がもれてしまいました。

フルオーダースーツは本来1人の職人さんが、最初から最後まで仕上げる『丸縫い』が一般的なのだそうです。そして、その丸縫いのスーツ職人として、一人前になるまでには10年かかると言われています。修行期間は給与も少なく、厳しい世界のため、途中で別の道を選ぶ人も多いそうです。

“このままでは、日本のテーラー文化は失われてしまう” という危機感から、銀座英國屋では伝統的な『丸縫い』も継続しつつ、エイワの『グループ縫製』という工程を分けて作る方法も確立してきました。こうすることで経験の浅い若手も場数を踏んで経験を積んでいくことができます。

「技術の継承」と「最高級な品質」そして職人さん一人一人の生き方までも考えて、この方法が確立されたそうです。今回の工房見学では、70年以上にわたって培われた、最高級の技術と工程の一部を見学させて頂きました。後半では、実際に縫製を担当されている職人さんに、色々とお話を伺ってみたいと思います。多くの職人さんが働くこの工房で、お客様へ完璧なフルオーダースーツを届けるために、皆さんがどんな想いで日々スーツ造りに取り組んでいるのか。

後半へ続きます。

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