新井農園は埼玉県北本市で300年以上にわたって農業を営む老舗農家です。市の西側地域を中心に、年間約50種類の野菜を栽培しています。新井農園18代目の新井啓佑さんが、夏の時期に力を入れて栽培するのは、色とりどりの茄子です。そのこだわりや栽培方法を取材しました。

気を遣う茄子栽培

夏が盛り迎える8月の半ば、焼けるような日差しが照り付ける中で、啓佑さんは一本一本の茄子を手入れしていきます。手元を見ると葉や木の枝を紐で吊り、木の形を整えているようです。「誘引って作業なんだけど、茄子の栽培で一番気を遣うのがこれ。成長に合わせて毎日やるし、農家のこだわりが一番出るところかな」茄子の肌はデリケートで、葉や木の“こすれ”等ですぐに傷がついてしまいます。しかし、風通しが良くないと病気や害虫の原因にもなってしまいます。そのため、必要最低限の葉だけ残し、剪定と誘引で形を整えていくことで、風の入り具合や実の付き方を調整し、茄子の成長を丁寧に促していきます。

それぞれの味わいを楽しむ 6種類の茄子

白茄子や青茄子、長卵形や丸形など様々な色や形がある茄子ですが、啓佑さんは自分の舌で味を確かめ、形などを総合的に判断し、栽培する品種を毎年少しずつ変えています。新井農園で今年栽培している茄子は6種類。その特徴をご紹介します。

筑陽
長細い形が特徴の長茄子です。煮炊きのほか漬物にも適しています。(写真右上)

とろ〜り旨なす
果皮の白さが特徴の白茄子です。加熱するとねっとりした食感に変化するため、てんぷらや炒めものにおすすめです。(写真中央上段)

万寿満(ますみ)
緑色の青茄子です。果皮は弾力があり果肉が密で、茄子特有のアクが少ないので生食や煮食におすすめです。(写真左上)

千両2号
茄子の代表的な品種です。果皮はやわらかくて品質がよく、どんな料理でも合うのが特徴です。(写真右下)

水茄子
小ぶりでぷりっとかわいい形の茄子です。特徴は薄い皮と瑞々しく甘い果肉、ぱりっとした食感で浅漬けなどがおすすめです。(写真右下2番目)

メランツァーネ・ビステッカ・スペリオーレ
ソフトボール程の大きさが特徴の丸茄子です。加熱すると、とろけるような肉質でステーキやバーベキューがおすすめです。(写真左下)

甘みのある茄子

新井農園では5月上旬に茄子の苗を植え、6月から10月頃まで収穫となります。苗を植えてからは、ほとんど消毒などはせず剪定や日々の管理を行い、地元スーパーや直売所へと出荷しています。最盛期には100袋以上の出荷となりますが、そのほとんどは地元で購入され、常連さんやお客さんの評判もとても良いそうです。その理由をお聞きするとこんな答えが返ってきました。「苗を植える前に土づくりをするんだけど、そこに有機肥料をたっぷりと入れる。そうすると、甘みののった茄子が出来る。土づくりはこだわりかな」

茄子が好き

2023年の7月から8月にかけて、北本市は雨がほとんど降らず厳しい暑さが続きました。その中、啓佑さんは500Lのタンクを軽トラに積み、水あげや日々の管理を続けてきたそうです。「秋になって採れなくなってくると、なんだか寂しくなってきちゃうんだよね」茄子の栽培が好きだと言う啓佑さん。愛情を注いだ色とりどりの茄子たちは、様々なお料理となって食卓を彩ります。

■新井農園の茄子はヤオコー北本中央店(北本市中央4丁目45番地2)にてお買い求めいただけます。