北本市中丸地区で、野菜栽培を行う加藤伸弥さんは、代々農業を営む加藤農園の6代目。農業大学校を卒業後、24歳の時に家業の農家を継ぎました。若手農家のチームである北本市農業青年会議所にも所属しています。加藤さん宅の周りには田んぼや畑など、のどかな風景が一面に広がっています。その一角に建つ2棟のビニールハウスでは、ナスやパプリカなどが栽培されています。野菜づくりのこだわりや、想いについてお聞きしました。

微生物の力で土をつくる

『こだわりは土づくりです。実はこの土の中に、納豆菌とイースト菌が入っています。太陽熱と有機肥料の力も借りながら、この2つの菌を土の中で発酵させていきます。そうすることで、土が柔らかくなり、野菜に適した土壌が出来上がってくるんです。透明なビニールのマルチシートを使って、長い期間じっくりと発酵させていきます』

微生物の力を借りながら、土づくりを行うことで、野菜自体が強くなり味も良くなる。結果的に、薬の使用頻度も減らすことに繋がると加藤さんは言います。

野菜ソムリエの目で

ハウスから徒歩5分ほどの畑では、カブ・ビーツ・芽キャベツ・ホウレンソウ・ロマネスコ・ブロッコリーなど、様々な野菜が育てられています。加藤さんの育てる野菜は年間約20種類。野菜ソムリエの資格を持つ加藤さんは、お客さんが野菜に出会ったときの第一印象を大切にしています。

「今の時期、特におすすめのカブは、朝6時くらい出来るだけ早い時間に収穫して、すぐに洗浄していきます。そうすると、葉の部分がしっかり鮮度を保ったままお客さんに届けられます。お客さんが野菜に出会ったときに、素直に“おいしそう”と思える野菜を作りたいんです」

全部を味わう

「カブは冬の時期に甘みがのってきますし、根が詰まってずっしり重くなってきます。ぜひ葉っぱも食べてほしいです。根の部分は火がすぐ通るので、火を入れすぎずにカブのみずみずしさを味わってみて下さい」

育てた野菜を、ご自身で調理をすることも大切にしているという加藤さん。調理の様子は自身のインスタグラムで、細やかに発信もしています。取材の中では“お客さん目線で”という言葉が所々に出てきます。その想いをお聞きしました。

つながる農業を

「お客さんがどうやって食べるか、どうやったら喜ぶかって想像しながら野菜を育てています。自分もスーパーで他の農家さんの野菜を買う時に、どんな野菜がいいのかなって。そんな経験も大事にしています。自分は野菜を通してお客さんや、大げさに言えば地域の未来へと繋がっていると感じています。そういう意味では、ただ美味しいや見た目がいい野菜だけじゃなくて、環境のことや、薬を出来るだけ使わない栽培方法、次の世代に負担がかかりすぎない農業を目標としています。実は少しずつ有機栽培の取組も進めているんです。」

地域の歴史を調べるのが、子供のころから大好きだと言う加藤さん。

「祖先が土地を開墾して今の平らな畑を造り、自分は野菜を作れています。地域や次の世代へ、自分がどんな選択ができるのか、何を残せるのか考えていきます」

自分の実践する農業が、よりよい地域や未来へとつながっていくことを目指して、加藤さんの挑戦は続いていきます。