団地に仕掛ける #kitamoto writer school

市民ライター　小倉明美

団地に仕掛ける

北本団地の商店街がさみしくなっているところに新たな仕掛け人！「ジャズ喫茶中庭（注1）」を運営する落合カナコさんに想いを取材しました。

北本との出会い

カナコさんは、東京都生まれ。沖縄の大学で教育学を専攻し、児童館やライブハウス、カフェなどの仕事を経験。将来の自分を見据えて、自分の道を自分で作っていこうと思ったときに、北本市にお住いの江澤さんからのお誘いがあって、これまでの経験を活かした、面白いことや楽しいことが出来そうかなと思い北本市へ引っ越します。

(注1)中庭は、北本団地の商店街にある住宅付き店舗を活用し、URが北本市を拠点として活動するまちづくり会社暮らしの編集室、無印良品、MUJIHOUSE、北本市と連携して取り組んでいる地域活性化の活動拠点として令和3年５月に開設されています。

ふらっと立ち寄れる場所

北本市でジャズ喫茶「中庭」をオープンされてどのような場所になっていますか？と伺うと「オープン当時は、ジャズ喫茶・喫茶店として興味を持って、来てくれる人が多かったです。最近は、お店というより、散歩がてら、ふらっと立ち寄る場所になってきていると思います。話を少しするだけだったり、新鮮な野菜や自分の作った作品を、良かったらどうぞと持ってきてくれたり。ジャズ喫茶では、不定期でライブを開催しています。そのリハーサル中に来店し、満足して帰る方もいます。本番前から、お客さんを入れようと思っていたわけでは無いのですが、出演者もそういう場所を楽しんでくれる人が中庭に来てくれていると思います。」とカナコさんは、語っていました。

人との距離感がとても心地いい

「東京で働いている時は、お客さんと店員という距離を作っていました。きちんと分けていないとうまくいかないと思っていましたし、店をやっていくにはそういう関係を作らないといけないものと。でも、ここ北本の中庭にいると人との距離をはっきり分けていなくてもいいような気がしてきました。お客さんじゃなくてもお友達じゃなくてもおしゃべりしています。近所の人の畑にお邪魔して袋いっぱいに収穫させてもらったり、田んぼの作業をちょこっとお手伝いしたり、いろんな関わり方が生まれています。そうやって四季を身近に感じられるようになったことも暮らしの楽しみになりました。」

とても心地いい距離感があると、笑顔で語るカナコさん。

これまでの東京暮らしとは違う、北本らしい暮らしに馴染んできている。
緑に囲まれた北本の暮らしを心地いいと感じているということが伺えました。
そして、ライブについてもお聞きしました。

敷居は低く誰でも、日常の中にいい音楽を

ジャズ喫茶「中庭」では、ジャズライブを定期的に開いていると思いますが、どんな人に聞いてほしいですか？と伺うと「ふらっと通りがけに音楽が聞こえてきて、ちょっと入ってみたら心地よかった。そんな風に日常に溶け込んでくれたらいいなと思っています。オープンしてから不定期でライブを開催している中で、面白さを感じてくれる団地や近隣の方々が少しづつ増えてきているように感じます。自分好みの音楽を聴きに行くなら、都内や関東近郊に少し足を伸ばせばたくさんありますが、そうではない日常の中の音楽・表現活動の場として楽しんでもらえたらと。中学生がお小遣いを握りしめて熱心に聞いてくれたことや、帰宅途中の小さなこどもが興味を持って立ち止まってくれたり。世代を問わず、金銭面を気にしなくても聴きに来られるそんな場所でありたいと思います。気軽に音楽を楽しんでくれたら嬉しいです。」と語っていました。

こどもが学べる場所の一つに

最後に、今後の展望について語っていただきました－

「中庭は学校外で学ぶこども達が気兼ねなく立ち寄れる場所として、”多様な学びプロジェクト”が運営している『街のとまり木』という活動に参加しています。きっかけは、学校外で学ぶこどものお母さん達が中庭に興味を持ってくれたこと。こどもが学び成長する場所は、学校以外にたくさんあっていいと思っています。ここはミュージシャンが集まったり、得意なことを持ち寄ってくれる大人がいたり、たまには酔っ払っている人がいることもあります。いわゆるちゃんとした大人だけじゃない。そんな空間をこどもが体感することも大きな学びになるのではないかと考えています。色々な場所や人を知ることで世界が広げられるし、自分に合った空間で自分らしくいられる場所を探してほしい」と語っていました。

カナコさんの展望をきいて、ますます、ジャズ喫茶中庭のこれからが楽しみになりました。
まずは、カナコさんのいる『中庭』へ遊びに行ってみてください。

＜ジャズ喫茶中庭のご案内＞