市民ライター 酒井めぐみ
「田んぼの学校」仕舞い仕事〜稲わらリースのお飾り作り〜
年の瀬迫る2022年12月24日、北本市で活動する「荒川わらの会」さんのイベント、『田んぼの学校 仕舞い仕事 稲わらリースのお飾り作り』が開かれました。
『田んぼの学校』とは
改めてのご紹介となりますが、『田んぼの学校』は、荒川わらの会さん(以降、わらの会)の主催する、連続体験プログラムです。わらの会は、北本市内の不耕作田畑を活用し、里山保全活動を行っている市民団体。『田んぼの学校』は、四季折々の田んぼ仕事を年齢問わず体験できるイベントとして、親しまれています。田植え、稲刈りに続き、今回リポートさせていただく仕舞い仕事は、収穫した稲わらの使い途のひとつ、しめ飾りづくりがテーマです。
では、リポートスタート!
暮らしを支える 稲わら
本日の講師は、農や身近な植物と暮らしのつながりを感じるワークショップを展開されている、飯塚瞳さん。ワークショップに入る前に、収穫後の稲わらについて、ご説明がありました。
稲わらの使い途は、実に多様です。粉砕して田んぼに蒔いて耕せば、肥料に。冬の畑の土の上に置けば、土を保温し野菜づくりの助けに。他にも、屋根や壁材、燃料、履物や敷物など、古くから暮らしに欠かせない存在でした。
そして、お正月に飾られるしめ縄も、稲わらを使って作られてきたということです。
しめ飾りは、歳神様をお迎えする準備ができていますよ、と、神様に示すためのもの。
稲わらのありがたみをきちんと知って、手作りのしめ飾りを玄関に掲げる…これはいいお正月を迎えられそうです!
わら束は、大人の手で大きく一掴み程度。穂先が独特の渋い色をした、古代米の稲わらも含まれています。わらの会ならではですね。
わらは、しっかり乾燥させているものでしたが、用意された束は手が濡れるほどの湿り気が。これは、乾燥状態のままで綯う(なう)※と、ポキポキ折れてしまうためです。今回は一晩ほど湿らせたものを使うとのことでした。※綯う(なう)…何本かのわら等を、1本により合わせること。
叩いて 綯って 結わえ付ける
では、しめ縄作りに入ります。
はじめに、茎の部分をよく叩き、柔らかくします。木槌のトントンという響き。こども達は早くも楽しそう!
ある程度叩いたら、2人1組となり、一方を押さえて、もう一方から綯っていきます。
手の動きは、少し複雑です。
綯う側の束を2つに分けたあと、どちらも右回りとなるよう、同じ方向にねじる。このとき、ねじりをきつくしておかないと、仕上がりが悪くなります。力を込めて。
それぞれねじったら、そのねじりを崩さないように、右の束を左側の束に重ねるようにして、巻き合わせていく。
こうすることで、左巻きの仕上がりになります。
誤って巻く向きが逆になると、日常使いの作業縄の綯い方となり、神聖なものにはなりません。
大人からもこどもからも、「あれ?」という声がちらほら。逆方向にならないように気をつけて、ねじって、ねじって、巻き合わせて、ねじって、ねじって、巻き合わせて…。集中して進めます。
慣れてきたころに、穂先と茎を少し残す位まで到達。これで綯い終わりです。
しめ縄の姿が見えてきました。
ぐるっと輪にしたら、穂先を垂らして結わえ付けます。リース部分は出来上がり!
飾りを付けて、仕上げます。