ふみだスコーレ」は、北本を舞台に若者の「地域でやってみたい!」を実現するスクールプログラムです。北本をフィールドに、地域で活動する様々な大人と関わりながら、あなたの「やってみたい」を実現していきます。

初年度である2024年度は、北本市内外の4 名の学生が参加。それぞれの関心を探りつつ、リサーチ方法や企画・運営について、さまざまなワークショップを通してデモンストレーションしながら、プロジェクトを練り上げていきました。

 

この記事では今年度ふみだスコーレで実施したワークショップ内容を紹介しつつ、どんな意図で実施して、どんな気づきが生まれたのか、振り返っていきます。

 

ワークショップ①自分の関心を探す:欲望年表

まずは自分の関心を探るため、欲望年表の作成からはじめました。欲望年表とは、哲学者千葉雅也の著書『勉強の哲学』にて紹介されている、自己分析の一種です。今まで生きてきた時間の中で、「自分が何を欲望してきたか」の年表をつくります。

勉強とは、いつも無意識に過ごしているノリとは異なるノリに移行することでもあります(つまり勉強とは変身)。自分が普段とは違うノリになれる(オタクっぽくなれる)ポイントはどこか、そこが自分の関心やリサーチ対象をみつける糸口になるかもしれません。

スタッフも含めミーティングに参加していた全員で、各々の年表を作成。自分の熱狂したもの、こだわっていたものをタイムライン上にならべてみると、意外と共通点が見えてきたり、こなかったり…。今興味を持っていること、なんとなく気になっていることの裏付けとなる自分の歴史遍歴が浮かび上がりました。

ワークショップ②表情と構造を観察する:スパイスカレーづくり

ふたつめのワークショップは、リサーチを進めることってどんなことなのか、体感してみます。リサーチとは、自分が気になるものごとの表情と構造、その両方を観察し想像できる範囲を広げていくことです。スパイスカレーでたとえるなら、味が表情で、その味を出すスパイスの種類と分量が構造。みんな食べている、味を知っているはずのカレー。でも、どのスパイスがどんな味を出すのかはわからない、そんな状態から、カレーをつくってみると、一体どうなるのでしょうか…?

集まったメンバーを3つのグループに分け、それぞれのチームでひと鍋、スパイスカレーをつくります。「思ってる味にならない…なんで!」や「あ!なんかいい味になってる気がする!」など、各々の舌を信じてつくりすすめます。やさしい味、パンチのある味、コクがある味、それぞれのグループの特徴がでました。

最後はスタッフがつくった、カレールウを使ったカレーを一口。「あれ、カレーってこんな味だったっけ?」「カレーの味ってなんだ…」とカレー観が揺さぶられ…。

リサーチを進めていくと、当初予想していたものとは異なる事実にたどり着いたりするもの。カレーづくりを通して、イメージを振り払い、自分の体を通して認知すると思いもよらない発見に出会えることを体感しました。

ワークショップ③まだみぬ一つの景色を設計する:バルーン

3つめのワークショップでは、みんなで巨大なバルーンをつくりました。

プロジェクトを実行していくためには、さまざまなひとに力を貸してもらったり、頼ったり、協働が必要不可欠です。そのためには、ある程度設計図を共有しながら、丁寧にプロセスを踏んでいく必要があります。みんなで協力しながらひとつの出来事をつくる、デモンストレーションとして巨大なバルーンづくりに取り組みます。

材料はビニールとテープのみ。2時間という限られた時間で、モチーフを決め、設計図を書き、工作し、空気を入れて膨らませ、バルーンを完成させます。今回のモチーフはまぐろに決定。シンプルなシルエットですが、どんな形のビニールを、どう組み合わせるとうまく膨らむのでしょうか…?小さい模型を作って見ながら、設計図をブラッシュアップ。

最終的には5メートルを超えるまづろが完成しました。空気を入れ、膨らんだまぐろのバルーンを夜の市役所芝生広場に浮かべます。ゆらん、と夜の空を浮遊する巨大まぐろ。大きなバルーンを手に持つと、走り出したくなるのはなぜなのでしょうか。まぐろバルーンを抱え、駆け回った夜でした。

ワークショップ④自分の変化を捉える記録:フィールドノートを書く

フィールドノートとは、調査地で見聞きしたことのメモや記録のこと。記録することで、自分自身の経験についてあとから考察を加え、意味づけをしながら振り返ることができるようになります。4つめのワークショップでは、フィールドノートをつける練習として、喫茶ケルン~市役所にかけて夜の散歩をし、そこで見たこと感じたことを記述してみます。

いざ散歩へ!駐車場で話し込むひとたち、前や後ろを歩くひとたちの話し声、市役所入口にイベント時の片付け忘れだと思われる「珍味3コ1000円」の張り紙を発見、三人で珍味ポーズをしてみたり、勤務中の市役所のみなさんに小話を聞いたりなどなど…。さまざまな夜の風景を眺めつつ、20分程の散歩をしました。

喫茶ケルンに帰ったら、散歩で見たこと、感じたこと、考えたことをそれぞれ紙に記述していきます。みんな同じ道を通って、同じ時間を過ごしていても見ているもの、記述するポイントは全然違います。各々が書いたフィールドノートを回し読みしながら、それぞれの文体の特徴や、自分が気づいていなかった出来事を発見しました。

今年度のふみだスコーレでは、以上4つのワークショップを実施しました。イスに座って誰かから知識を受け取る講座ではなく、自分の身体や頭を使いながら試行錯誤することを大切に進めていきました。

各ワークショップをはじめ、メンバーそれぞれのプロジェクトや、最近の動きについては逐次ふみだスコーレInstagramにてお知らせしております。ぜひ今後のふみだスコーレをチェックしてください。