総代・世話人とは

神社には、宮司と協力し祭祀や信仰、伝統の保持信仰に奉仕する総代と、総代と協力し祭事の運営に奉仕する世話人という役割があり、東間浅間神社にも総代や世話人として、獅子祭りや初山例大祭、元旦祭などの運営を担う方々がいます。この度、総代の川村さん(総代会長・81 歳)、植野さん(総代事務長・80 歳)、世話人の宮崎さん(世話人会長・61 歳)、青野さん(世話人・49 歳)からお話を伺いました。今回お話を伺った皆さんに共通するのは、東間浅間神社の伝統を後世に残していきたいという強い思いです。

総代・世話人になるきっかけや東間浅間神社に対する想い

日ごろ、総代や世話人としてお互いに協力しながら神事・祭事の運営を行っていますが、総代・世話人になる前の神社との関わりや総代・世話人になるきっかけは様々です。かつては、東間村の農家が中心となり神社のお手伝いをしていたそうですが、会社勤めの人が増えるなど、地域社会が変化したことで、総代・世話人の在り方も変わってきているようです。それでも総代・世話人の仕事を通じて、神社に対する理解が深まり、神社の伝統を後世に残していきたいと、皆さん口をそろえておっしゃっていました。

川村さん 自治会やコミュニティなどの役員を行っていたこともあり、総代の役職をお願いされて喜んで引き受けました。会社員の頃は都内に勤務しており、神社とのつながりはありませんでした。今は宮司に話を聞いたり、古事記を読んだりして勉強しています。総代として神社と関わるようになってから、東間浅間神社がこの地域でとても大切にされていることを実感しました。しっかりと次の世代につないでいきたいと思います。

植野さん 所属する自治会の持ち回りで総代を引き受けることになりました。子どもの頃、東間浅間神社はホームグラウンドで、木の蔦にぶら下がったり、穴を掘ったり、いろいろな遊びをしました。お山の上から富士山を眺めていました。昔は、桜の木が多く、春の季節は華やかでしたし、米軍が神社で休憩していたりして賑やかだった記憶があります。神社の神事には先人の知恵が詰まっているので、しっかりと伝えていきたいですね。

宮崎さん 自治会長から推薦してもらい世話人を引き受けることになりました。子どもの頃はお山に登ったりして遊んでいました。会社の仕事をしながら世話人の仕事をするのは大変ですが、神社の仕事を通じていろいろな人とつながりができ、ネットワークが広がっているのが良いと感じています。

青野さん 自治会の回覧で世話人募集のチラシを見て、自分もやってみたいと思いました。以前から神社や仏閣に興味があり、たまたまチラシを見かけて神社に連絡しました。神社は地域にとって必要な場所だと思いますし、神社の活動やお祭りを通じて、様々な人とつながりが生まれることが良いと思います。

総代・世話人としての苦労

神社の運営や神社のお手伝いにあたって様々な苦労があるようです。神社の維持・管理面や、日常生活とバランスを取りながらお手伝いするということも難しいところです。会社を引退した人や会社勤めの人、自営業の人など、多様な人が神社を支えています。いろいろな苦労を抱えつつも神社のお手伝いをしているのは、東間浅間神社が地域にとって大切な存在であるという意識が根底にあるのではないでしょうか。

川村さん 神社の伝統は古く、組織としても古い部分が残っており、なかなか変えられない部分があります。また、お祭りの祈願者が少しずつ減ってきており、神社の維持・更新費用などを考えると、なかなか難しくなりつつあると思います。ただ、今年の獅子祭りでは初めてお神輿を出しましたが、そのような新しい取組みをしながら、積極的に宣伝して盛り上げていきたいと思います。

植野さん 神社の維持は、非常に難しく重労働です。特に、銀杏の落ち葉を掃除するのが大変です。また、北本に越してきた方は、氏子という意識があまりなく、神社の手伝いについて、あまり積極的ではありません。それでも、地域で神社を守り、先人が考えた良い伝統を繋いでいくことが大切だと思います。

宮崎さん 休日に世話人の活動をするので、家事の時間や家族と過ごす時間が少なくなってしまいます。

青野さん 仕事が不定休のため、事前に活動日がわかるとやりやすいです。土日中心のスケジュールでは、サービス業の方も動きづらいと思うので、配慮してもらえると助かります。

東間浅間神社の将来に向けて

神社の運営には地域の人たちの協力が欠かせません。総代・世話人を担う人のほか、時々お手伝いしてくれる人もいると大変ありがたいとのことです。時代が変化する中で神社を守るためには、少しずつでも変えるべきところを変え、新しいことにもチャレンジする必要があるように思います。今回の取材もその一環として、少しでも神社のことを知ってもらいたいという趣旨で引き受けていただきました。私たちが関心を持ち、多様な人たちが関わり合うことが、地域の文化を残していくために必要なのではないでしょうか。

川村さん 月一回程度、境内の清掃など、地域の人たちが神社の維持・管理に参加するような仕組みができればと考えています。また、初山例大祭(毎年 6/30、7/1 に開催)
が華やかになるように、紫陽花を少しずつ増やしていくことも考えています。

植野さん 若い人がお手伝いしてくれるように積極的にアピールしたいと思います。”東間の富士塚”は、北本市指定の有形民俗文化財ですので、そのような点もよく知ってもらいたいと思います。

宮崎さん 近所には境内の掃除をお手伝いしてくれる人もいるようですので、そのような人たちの協力を得ながら運営できるといいと思います。子ども連れもよく来ているので、普段からも人が集まる場所として大切にしていきたいですし、お祭りも文化の一つであり、地域の中で守っていきたいと思います。

青野さん 地域の触れ合いの場、いろいろな人とコミュニケーションを取る場として、神社は人が人として健やかに生活するために必要な場所だと思います。大変だと思うこともありますが、それを避けるのではなく、まずは取り組んでみて、いろいろ経験しながら、自分自身が成長できればと思います。神社の運営を手伝う意義は大きいと感じています。

総代・世話人への取材を通じて

今回、2024 年 3 月 23 日(土)に開催された獅子祭りの後に取材させていただきました。皆さん、お疲れのところだったと思いますが、総代や世話人の活動や神社の昔の様子、地域における神社の位置づけなど、様々なお話を聞かせていただきました。伝統ある神社の総代さんや世話人さんですが、形式ばることなくフランクに、新しいことにも前向きにお話されていたのが印象的でした。東間浅間神社では、獅子祭り(3 月第四土曜日)、初山例大祭(6 月 30 日および 7 月 1 日)、元旦祭(1 月 1 日~3 日)がありますので、ぜひ遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

また、神社のお手伝いに関心がある方は、総代さんや世話人さんにお声がけしてみてはいかがでしょうか。※本記事は 2024 年 3 月の取材内容になります。総代・世話人の役職は所定の期間で交代となります。記事をご覧になる時期によっては、今回の取材にご協力いただいた方々が総代・世話人の役職から離れている可能性もありますので、その点については予めご了承ください。