皆さん『里山』という言葉を聞いたことはありますか?
広報きたもと令和7年10月号では里山というテーマで、北本での里山にまつわる様々な活動が特集されました。その紙面で“里山”を知った方も多いかもしれません。この度、広報きたもと令和7年10月号スピンオフ企画-里山と暮らしをめぐるペアトーク-『里山トーク』が開催されます。開催にあたり、こちらのページでは開催の背景や北本で行われている様々な活動をご紹介していきます。

広報きたもとR7.10月号「これが私の里山ライフ」(北本市WEB)
広報きたもと10月号「これが私の里山ライフ」に寄せて(北本市公式note)

里山って何だろう

 里地里山とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域です。農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきました。里地里山は、特有の生物の生息・生育環境として、また、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観、文化の伝承の観点からも重要な地域です。(里地里山の自然活用)

インターネットで『里山とは』を検索するとこんな言葉が見つかります。

里山の特徴とは

人為的な影響: 原生林とは異なり、薪炭材の採取や落ち葉の利用など、人の手が入ることで維持されてきました。

多様な生態系: 人間が管理することで、多様な動植物が生息する豊かな生態系が育まれています。

伝統的な農村風景: 日本の昔ながらの農村風景を形成する要素であり、食料や木材などの資源供給源でもありました。

原生林ではなく都市でもないその中間にあるのが里山であり、人間が手を入れながら維持をしてきた自然が里山と言えそうです。

地形から探る北本の里山について

ここからは北本の里山環境や活用について、令和4年5月に開催されたシンポジウム 「地域循環共生圏~北本の里山と生物多様性~」から資料を引用しながらみていきたいと思います。

 北本市は都心から45 ㎞圏に位置し、東京から電車で約50分の距離です。地形的には大宮台地の北部に広がっていて、西は荒川の低地に、東は元荒川の低地に挟まれています。~中略~また、この市域西部では北から北袋、宮岡、八重塚地区に3つの谷津が枝状に台地を浸食しているため、平坦な印象の強い本市の中でも比較的起伏のある地形を形成しています。これらの谷津の特徴は 、台地上と谷底との比高差が大きく、谷幅が狭いのが特徴です。このため、平野部でありながら局所的に丘陵地のような雰囲気があり、狭小な谷津田は生産性が低いことから農道や生活道路が敷設されず、昔ながらの環境を残してきました 。(北本の里山の成り立ちと今 北本市市長公室 磯野 治司)

主に北本市東西の地形をまとめると下記のような内容となります。
・北本市の東側と西側にはそれぞれ河川があり両側とも低地となっている
・市域西側には北から北袋、宮岡、八重塚地区に3つの谷津があり起伏のある地形を形成している

谷津とは、台地を湧き水が侵食してできた地形のこと。谷にあたる部分は泥深い湿地となっていて、昔の人たちは谷部分で田んぼ(谷津田)を営んでいました。北本デジタルアーカイブズをみると、北袋の谷津では昭和30年ごろまでこの谷津田が行われていたとのこと。その田植え方法も、昭和20年頃までは今とは全く違う方法で行われていました。

市内で行われていた伝統的な稲作法には、ツミタ(摘み田)とかマキタ(蒔き田)とよばれる直播(じきは)法がある。種籾(たねもみ)を灰などの肥料と混ぜ合わせ、直接水田に摘み蒔(ま)く方法である。北本では、昭和20年頃まで谷津での摘み田が行われていた。(北本デジタルアーカイブズ)

谷津田は場所によっては腰まで浸かってしまうほどの深さがあり、その作業は大変な苦労を要したそうです。
田船などの道具を使いながら、ほとんど人力で行うお米作り。上記写真の右側(谷)部分でそんな営みが繰り広げられていたなんて、今では少し信じられない感じもしますよね。

台地部分の里山の暮らし

次に、市の中央部分である北本駅や市役所・中山道周辺について、その地形や農的な営みについてみていきたいと思います。

台地上に広がる市域は畑作中心の土地柄です。江戸時代以降はサツマイモ等の換金作物や小麦などの生産が盛んとなり、とくに小麦は「中山道麦」という評判の銘柄でした。このため、市内では今でも客人にうどんをふるまい、最近まで夕飯はうどんしか食べないという家があったほどです。こうした畑作を営む上で、地力の維持に大きな役割を果たしたのが雑木林でした。冬になるとクマデで落ち葉を集め、ヤマカリカゴに詰めて運び、これを堆肥として利用しました。火山灰を起源とする関東ローム層は軽く肥料分に乏しいため、畑を維持するうえで雑木林は欠かせないものだったのです。また、雑木林は15年~20年で伐採され、薪や炭となる薪炭林でもありました。つまり、雑木林はくらしや農業に必要なものとして、計画的に維持・管理されてきたのが本来の姿です。(北本の里山の成り立ちと今 北本市市長公室 磯野 治司)

市の中央台地部分の地形や活用をまとめると下記の様な内容となります。
・台地上に広がる地域は畑作が中心となっている
・江戸時代以降はサツマイモや小麦の生産が盛んである
・落ち葉を堆肥に、木を炭や薪に活用するなど畑作や暮らしに雑木林は欠かせないものであった

JR高崎線桶川―北本間の線路沿いに広がる雑木林。東京方面から電車に乗って帰ってくる際、この雑木林が見えると「北本に帰ってきた」と感じる方も多いのではないでしょうか。

里山と北本雑木林の会

人の手で守られ育てられた来た雑木林ですが、農家や農地の減少、エネルギーや住環境の変化、肥料や技術など農業環境の変化により、農と暮らしに欠かせなかった雑木林は、やがてその役割を終えていきました。人の手が入らなくなった林は、草が生い茂り、常緑樹が増えることでうっそうとした場所になっていきます。次第に林はゴミ捨て場になり景観や治安への悪影響も懸念されるようになります。

今から約30年以上前、北本雑木林の会は「雑木林が地域の宝物になる」と林の保全活動を始めました。近隣の雑木林にゴミが捨てられていくのを見かねて、ゴミを片付けたのがその始まり。平成3年から活動をスタートし、雑木林の地権者と話し合い、清掃・下草刈りを行い、きれいになった雑木林でコンサートやイベントを開催するなど、現在でも多くの人と林をつなぎ合わせる役割を雑木林の会は担っています。雑木林で虫取りをして遊ぶこどもたち。毎日の様にウォーキングで林を通る様々な人たち。人間だけでなく、虫や植物や鳥などの動物たちにとっても貴重な住みかとなるなど、雑木林は景観・文化・健康・福祉・環境などの面からも、大切な資源として新たな役割が注目されています。

広報きたもと令和7年10月号の里山特集は、様々な側面から北本の里山を見つめ直す、新たな試みとしてスタートしました。残念ながら雑木林や里山環境は減少傾向にありますが、北本では様々な団体・個人の地道な活動により、里山の持つ多様な豊かさが日々少しづつ広がりを持ち始めているように感じます。農と暮らしと密接に結びついてきた里山ですが、広報きたもとに掲載されている皆さんの多くは、農を生業にしていない、まちに住む私たちの隣に住んでいる人たちです。

どうやって里山に出会い・仲間と出会い、その活動の原動力はどんなところにあるのか。皆さんにとって里山とはどういった場所なのか。里山トークでは、広報きたもと令和7年10月号スピンオフ企画として、広報紙では語りきれなかった活動のことや、北本里山の新たな魅力を皆さんでお話ししていきたいと思います。

広報きたもとR7.10月号「これが私の里山ライフ」(北本市WEB)
広報きたもと10月号「これが私の里山ライフ」に寄せて(北本市公式note)

広報きたもとR7.10月号スピンオフ企画-里山と暮らしをめぐるペアトーク-『里山トーク』

北本の里山を舞台に、日々精力的に保全・環境・教育・地域活動に取り組む団体や個人の方をお招きし、連続企画としてペアトークを開催します。北本の里山をフィールドに、皆さんが日々どんなことを想いながら活動に取り組まれているのか。それぞれの活動場所を会場に、その場で採れたものを食べたり飲んだりしながら、ゆったりと実践者の皆さんの話に耳を傾けてみたいと思います。一緒に言葉を探してくれる方、同じように地域づくりに関する言葉にできないモヤモヤを抱えている方、ぜひご参加ください。お子さんも歓迎です。

里山トーク① 『農と雑木林と里山 いままでとこれからも』

里山トーク第1回目は、北本で19代続く老舗農家『いとうふぁーむ』と、北本の雑木林を守り続ける『北本雑木林の会』のペアトークです。

■トークゲスト
いとうふぁーむさん×北本雑木林の会 白川さん
■日程 3月8日(日)13時~14時30分頃まで
■場所 どんぐりハウス(北本市緑3丁目390)
■参加費 1,000円(お茶・そばだんごなどのお茶菓子付き)
■申込(事前申込) お申込みはこちらから

ゲストプロフィール

いとうふぁーむ 伊藤治/伊藤わかこ
「いとうふぁーむ」は19代続く老舗農家。年間100種類以上の野菜を栽培しており、農園直営の直売所には旬の野菜が所狭しと並びます。直売所でも特に人気の野菜がいとうふぁーむこだわりのサツマイモ『熟成紅はるか』。ねっとりと焼き上げられた熟成紅はるかの焼き芋を求め、連日多くの方が訪れます。雑木林の地主でもあり、落ち葉堆肥を活用した昔ながらのサツマイモづくりを現代でも実践されています。
いとうふぁーむInstagram

NPO法人北本雑木林の会 理事長 白川容子
会の結成は1991年、市街地に残る雑木林を残したいと活動を始めました。2007年にNPOになり指定管理者として「北本中央緑地」の保全管理を中心に活動しています。高崎線沿いの「北本中央緑地」は、北本市民の原風景として先人が残してくれた雑木林です。私たちはこの身近な自然を、生物と人間の共生の空間として、または「人間は自然無しには生きられない存在だ」と気づける場所として考えています。具体的には様々な樹木、野草や昆虫、野鳥などの多様な生物が棲む雑木林として管理し、未来へ繋ぐための活動をしています。
雑木林の会Instagram

里山トーク② 『縄文と里山 北本縄文人の暮らしから』

里山トーク第2回目は、縄文と里山にまつわるペアトーク。北本市を代表する縄文遺跡デーノタメ遺跡を舞台に、縄文の杜づくりをテーマに様々なワークショップや勉強会に取り組むデーノタメ遺跡の杜プロジェクト。長年にわたり文化財行政やデーノタメ遺跡の保存活用に取り組まれている、北本市教育委員会の磯野さん。縄文里山を舞台とした北本縄文人の暮らしとは。遺跡のことや活動のこと、妄想のアレコレまで。里山をキーワードに、皆で北本縄文人の暮らしを考えてみたいと思います。

■トークゲスト
デーノタメ遺跡の杜プロジェクト 早野さん×北本市教育委員会 磯野さん
■日程 3月22日(日)17時から19時頃まで
■場所 北本団地『中庭』(北本市栄7 1-26-102)
■参加費 1,000円(お茶軽食付)
■申込(事前申込) お申込みはこちらから

ゲストプロフィール

デーノタメ縄文の杜プロジェクト 代表 早野圭一
様々な体験を通して楽しみながら縄文の杜づくりを目指す『デーノタメ縄文の杜』プロジェクト。2023年の11月から月に一度メンバーや有志が集まり、デーノタメの保全整備や縄文体験を開催しています。デーノタメ遺跡は埼玉県北本市にある縄文遺跡。遺跡には、縄文時代中期(約5,000年前)から縄文時代後期(約3,800年前)にかけての集落や水場が残されています。縄文のタイムカプセルともいわれる『デーノタメ遺跡』。プロジェクトでは、遺跡の魅力や縄文の杜復元の取組を体験を通してお伝えしていきます。
プロジェクト公式note

北本市教育委員会 磯野治司
東京生まれ。幼少期に北本に越して以来、北本が第一のふるさと。子どもの頃から市内の里山歩きが大好きで、サンコウチョウ、カワセミ、サシバ、キツネといった生き物たちとの出会いが今も心の宝物となっている。最近の里山の荒廃や雑木林の消失を憂いている一人。

里山トーク③ 『好きと里山とコレクティブ?』

里山トーク第3回目は、里山好きな仲間が集まって、里山を舞台に様々な活動を展開する『荒川わらの会』と『だいじょうぶだ村』のお二人のペアトーク。田んぼと野良飯で“贅沢な大人の遊び場”づくりを楽しむ荒川わらの会。お金だけのつながりではなく、手を差し伸べ合ってその後も物語が続いていくような居場所をつくるだいじょうぶだ村。どちらの活動もメンバーの皆さんが本当に楽しそうで、その場で採れた季節の美味しい食材が、いつもその活動の中心にあります。トークでは里山が持つ居場所の可能性、活動のリズムや集い方についてお話をお聞きしたいと思います。

■トークゲスト
荒川わらの会 小山さん×だいじょうぶだ村 さとうさん
■日程 3月29日(日)10時~14時頃まで
■場所 蕎麦 阿き津(北本市高尾6丁目248)
■参加費 1,000円(おにぎり・麦茶付)
■申込(事前申込) お申込みはこちらから

■持ち物など
わらの会ではイベント時などメンバーや参加者が集まる時には、空の下で食卓を囲みながら“野良飯”を皆で頂いています。今回のトークでは参加者みんなで野良飯を味わってみよう!ということで、だいじょうぶだ村の麦茶をおともに、お米を炊いておにぎりを食べようと思います。それぞれおにぎりに入れたい具をお持ちください。椅子などもご持参頂けますと助かります。

ゲストプロフィール

荒川わらの会 代表 小山千草
16年前の「NPO法人荒川藁の会」設立時からメンバーとして、自然保護活動を含めた「田んぼ」の活動を続けています。大変だったけど懐かしい「かかし祭り」などのイベントも主催していました。3年前のNPO解散時より「荒川わらの会」代表として「米の一生を体験する」をテーマに活動を進めています。また「暮らしの編集室」さんと農ある暮らしの体験圃場として「田んぼの学校」「自然観察会」のコラボもしています。「野良めし」や「藁細工」のワークショップなど、田んぼの活動に参加していないメンバーや一般の方にもこの高尾の景色と美味しいを体感してもらいたいと、毎週木曜日の午前中に集まっています。冬には富士山を眺めながらの井戸水で淹れた「野良珈琲」は絶品ですよ。今年度はコンセプトや活動の見直しなどに取り組みながら、よりシンプルにこのわらの会を「楽しい美味しい会」として引き継いでいこうと考えています。この歴史ある河川敷をとりまく里山の魅力を、たくさんの方にお知らせ出来ると良いですね。自分自身としては新たなフェーズとして里山の魅力ある財産「竹」への取り組み準備も始めています♪
わらの会Instagram

だいじょうぶだ村 さとうじゅんこ
会社員として働きながら4人のお子さんを育てるなかで孤独な子育てを経験。「ママの休日コミュニティ」や雑木林で子どもたちが遊び育つ「モリトコ」を立ち上げるなど、子どもやお母さんたちの居場所づくりに尽力する。農林61号との出会いをきっかけに、麦栽培を中心とした農ある暮らしを分かち合う「だいじょうぶだ村」をオープン。子どもから大人まで幅広い村人を受け入れる。
だいじょうぶだ村Instagram

イベントの詳細につきましては下記のWEBサイトを御確認下さい。

広報きたもとR7.10月号「これが私の里山ライフ」スピンオフ企画『里山トーク』開催!

■企画運営(合同会社 暮らしの編集室 担当:屋宜・岡野)