市民ライター 酒井めぐみ
みんなで 手を使って 「田んぼの学校」初めての稲刈り体験

2022年10月8日、北本市で活動する「荒川わらの会」のイベント、『田んぼの学校 稲刈り』が開かれました。早いもので、先日の田植えから4ヶ月ほど。あの日に植えた稲はどのような姿になっているでしょうか?初稲刈りの筆者が、写真多めにリポートします!

『田んぼの学校』とは

『田んぼの学校』は、不耕作田畑を活用し、里山保全活動を行っている市民団体、荒川わらの会(以降、わらの会)の主催する、連続体験プログラムです。田んぼの整備・田植え・稲刈りを、年齢問わず体験できるようになっています。6月に初めて田植え体験をした私。今回の稲刈りも、家族で挑戦してきました。

稲刈りの前に

連日続いた寒さや雨とはうってかわって、当日は晴れ。最高気温は24℃予報と、好い気候に恵まれました。幅広い年代が、約50名ほど集まっています。まずはウォーミングアップとして、フィールド周りを散歩することに。わらの会コスモス畑の見学、そして、周辺のクリーンアップを行いました。


咲きそろったコスモスはちょうど見頃を迎えており、辺りは鮮やかなピンクや白に彩られていました。わらの会はこれまで、お米や野菜を中心とした耕作を行っていたそうですが、今年は季節折々の花畑づくりに挑戦。コスモスは、さくら公園脇と高尾橋のたもとに、20種類、10,500株ほど植えられました。

秋晴れの空によく映えたコスモス。思わず足を止めてしまいます。花が大好きな娘も大喜びで、お気に入りの花色を見つけては、「この花と撮って!」と写真をせがまれっぱなしでした。

コスモスを見つつも周辺を確認します。わらの会のフィールド外となる荒川側の藪の奥に、ちらほらとプラスティックなどが落ちており、回収。フィールド内では、活動を通して景観が保たれているとのことでした。景観維持には、人々の働きかけが大切なんですね。

いよいよ、稲刈りだ!

ウォーミングアップを終え、いよいよ稲刈り本番です。事前に案内のあったオススメの服装や持ち物は次の通り。

【手元/足元】
作業グローブ/長靴もしくは足袋
【服装】
ハイネックなどのシャツ、ナイロン等長袖の上着
【顔周り】
ゴーグル、日よけ帽子

ポイントは稲の葉(チクチク)への対策とのこと。稲刈りをしっかり楽しむため!と、フル装備で体験エリアへ行きました。

ミルキークイーンは、一面、黄金色の稲穂が垂れ下がり、古代米は、渋い赤茶色の稲穂が実っていました。あの日は小さな苗だった稲が、大人の腰ほどの高さで、わさわさと揺れています。おぉ…、感…感動…! 

お話を伺ったところ、わらの会の特徴のひとつが、無農薬での米作り。株の定着後は、日々細やかな雑草取りを施してきたそう。そうでなければ、あっという間に草が生い茂るためです。米作りのなかで、もっとも大変な作業だと言います。こつこつと手を掛けてもらった稲なのです。

田んぼの足元を見ると、かなりのぬかるみが。前日までの大雨の影響もあり、まるで田植えのときのようです。もともと水持ちのよい田んぼで、尚更とのことでした。
足運びをするうえでは裸足が楽そうだなと思ったけれど、刈った稲の株元を素足で踏み痛い思いをしたという声もあり。長靴のままで奮闘する覚悟を決めました。バリバリ収穫するぞ!
いざ、入水です!

稲を刈る鎌は、ゆるやかなカーブの刃にノコギリ状のギザギザが付いたもの(その名もノコギリ鎌)。稲を掴み、株元に刃を当て、引きながら刈ります。やってみると、ザクッと音が立ち、鎌から手応えが伝わります。なんとも小気味好い。

こどもたちも、上手に鎌を扱えています。そして、手際が良い!はじめは慎重に作業していた私も、いつの間にか、没頭。気温の上昇で、汗まみれ&泥まみれになりながら、目の前の稲を刈ることだけに集中していきました。それも、チクチク対策のおかげです。稲の葉で困ることなく、作業を進められました。

苦労したのは、やはり足運び。届く範囲を刈り終えて移動したいのにままなりません。ぬかるみに嵌まった長靴を掴みながら足を引き抜きます。すると「刈った根元に足を置くと、嵌まりにくい」とアドバイスが!これでだいぶ助けられました。

けっこう刈れたかなとふと見やると、ようやく半分ほど。足元の状況も相まって、骨が折れる作業です。それでも、虫をたくさん捕まえたお子さんの武勇伝を聞かせてもらったり、近くの方と何気ない会話をしたり。そんな交流は、広く集まって田んぼ作業をするからこそ。楽しい時間でした

空きっ腹に 嬉しい野良飯

あっという間に、もうお昼。4分の3程まで刈り終えました。すべて刈ってしまいたかったけれど、お腹はペコペコです。前回の体験と同様に、嬉しい季節の野良飯が待っていました。洗い場で泥を流し、すぐさまいただいたのが、熱々の麦茶です。

これ、ただの麦茶ではありません。湧き水を鉄瓶に入れ、薪で沸かしたものなのです。
それがもう美味しかったこと…!
猫舌なのですが、ぐびぐび飲めました。何杯もおかわりです。

そして、本日の野良飯も嬉しいラインナップでした。 レタスとチーズの古代米ライスサラダ、レーズン入りかぼちゃサラダ、蒸かしたさつまいも、秋ナスの漬物、古代米のおはぎ。
季節のお野菜、加えて、ふんだんに古代米を使った、わらの会ならではのランチです。
おかげさまで、お腹いっぱいいただきました。美味しい昼食の準備を進めてくださったわらの会の皆さんに、改めて感謝です。

刈った稲を干す

ランチの後は解散予定でしたが、時間のある方々で、残りの稲刈りと、稲架がけ(ハサがけ)と呼ばれる作業を進めることに。稲架がけは、刈った稲を束ね、その日のうちに竹で組んだ干し場(稲架)に掛ける作業です。干した稲は、約二週間ほどかけ、天日のもとで乾燥させます。
私はあいにく時間が取れず、ランチまでの参加に。次回参加できたら、稲架がけもやってみたいなと思いながら、フィールドを後にしました。

手作業を みんなで

稲刈りは現在、機械での作業が一般的です。手で刈るのは、とても貴重な経験。お茶碗一杯分は、おおよそ稲2株と言われています。たくさん刈ったなという実感はありますが、私が刈った分は何日分かなと考えると、2週間も食べられないかもしれません。体験を通じて、一年中食べているご飯のありがたみを、一層感じることができました。

また、わらの会の『田んぼの学校』は、田んぼの作業=やり方について学ぶだけの場ではなかったと、つくづく感じます。

広い空の下で、長閑なロケーションで、色々な年代で協力して手作業して、美味しい野良飯を囲んで…。

貴重で、贅沢な時間がありました。
わらの会では、毎年『田んぼの学校』の参加者を募集しています。
最新の情報は、わらの会facebookをチェックしてください。
ぜひ、色んな方に体験してほしい!オススメです。

わらの会facebookはこちら

2022年の田植えの様子はこちら

※一部の写真は、荒川わらの会facebook・北本市より提供